肝機が上がる

医療の現場でしばしば「肝機が上がる」という表現がある。この肝機を“肝機能”と解釈すると,「肝機能がアップする」,つまり「肝臓の機能が向上する」という意味になってしまう。しかし,逆である。「肝機が上がる」とはむしろ肝機能の低下を意味している。

肝機とは「肝機能を示す酵素の値」,つまりGOT(AST)やGPT(ALT)のことである。つまり「肝機が上がる」とはトランスアミナーゼが上昇していることであり,肝臓の機能は低下している可能性が高くなる。

〔例〕肝機↑↑:慢性肝炎の悪化か

気をつけないといけないのは,「肝機能が上がる」や「肝機能上昇」の“肝機能”も「肝機能を示す酵素の値」を指す場合が多いことだ。つまり「肝機能が上がった」という場合,「肝臓の機能が改善した」のではなく,「GOTやGPTが上昇した」ことを示すことが多い。

〔例〕肝機能↑↑ 禁酒を指導

整理すると

肝機(能)が上がる=GOT(AST)やGPT(ALT)の値が上昇する
肝機(能)が上昇する=GOT(AST)やGPT(ALT)の値が上昇する
肝機能が改善する=肝臓の機能が良くなる
肝機能が向上する=肝臓の機能が良くなる

結局,“肝機”または“肝機能”に“上がる”もしくは“上昇”がくっつくと,肝機能低下を示すようだ。

余談だが,トランスアミナーゼ(transaminase)をトランスアミラーゼと間違って表記・発音する人が多い。

transaminaseを略してTAと表記することもある。

〔例〕TA↑↑ 肝庇護剤を処方
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by charttranslator | 2005-05-28 16:51 | カルテ解読のヒント | Comments(0)


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